2024.10.29
今回は雨漏りによって床がカビてしまった現場です。
室内に入るとすぐにカビ臭が鼻をつきます。原因は、防水シートが劣化してしまったために雨水が侵入し、気密性の高い構造がかえってカビの温床になってしまったようです。
この現場の躯体は2×4工法です。現代の家は気密性と断熱性が高く、温度管理には優れていますが、一度湿気が入ってしまうと逃げ場がなく、すぐにカビが発生するリスクが高まります。ひと昔前の在来工法の家であれば、風通しがよいため多少の雨漏りでも自然乾燥で解決できました。その分、冬は寒く夏は暑いという欠点はありましたが、湿気がこもりにくい構造だったのです。
現代の住宅は、断熱性と気密性が進化し、外気をほとんどシャットアウトしています。そのため、少しの雨漏りでも一気に湿気がこもり、今回のように床や壁の中にカビが発生する事態を引き起こしてしまうのです。
防水シート選びが大切な理由
家を建てる際には、「防水シートなんてどれも同じ」と思われがちですが、これは大きな誤解です。多くの建築会社ではコストを抑えるために安価な防水シートを使っていますが、これが約10年で劣化することも少なくありません。家の寿命を長くするためには、最初から耐久性の高い防水シートを使用することが肝心です。シートが劣化してしまうと、今回の現場のように家の内部に水が入り、気づかぬうちにカビや腐食が進行してしまう可能性があるのです。
家を建てる際に、10年で雨漏りするなんて考える方は少ないと思います。しかし、防水シートの選定を怠ると、こうした問題が起こるリスクが高まります。気密性が高い今の住宅では、少しの水分も乾燥せずに溜まりやすいのが現実です。そのため、家づくりにおいては、多少費用がかかっても信頼できる耐久性のある防水シートを選ぶことをおすすめします。